「キャリア官僚に40歳定年制」の報道について

キャリア官僚に40歳定年制…維新の公約原案(読売新聞)
この記事を見た時、一瞬自分の目を疑いました。
えっ!?
「40歳になれば期限付きの政治任用スタッフとなるか、民間企業に再就職するか選択を求めるとした。」
何を急に言い出すわけ!?

と。
ただ、この公約の詳細は決まっていないどころか、別報道によると、

日本維新の会代表の橋下徹大阪市長は26日、維新国会議員団がまとめた次期衆院選の公約素案について「まだたたき台中のたたき台だ。表現の仕方も表への出し方も稚拙だ。政調会にもかかっていない」と不快感を示した。
とのことですので、議員団の先走りだけかもしれませんが、とんでもない政策ですねこれは。
40歳といえば、大学を卒業して約15年目過ぎ。
毎晩毎晩、終電までボロ雑巾のように働き(働かされ)、全国のあちらこちらの職場を転々とし、ようやく一人前の公務員として脂がたっぷりの乗ってきた頃です。
民間企業でも35歳~40歳ちょっとが一番脂が乗り切る頃なのは同じなので、これからより官僚として、公僕として活発に活動できる時に、
「はい。皆さん40歳になりましたので定年です。天下りはあちこちうるさいですから斡旋できませんので、皆さんご自由に民間企業に転職か起業でもしてくださいね。ただし、再就職規制はきっちり守ってくださいね。」

となる訳でしょうか??
とんでもない政策公約ですねこれは。
そもそも、よく知られているように国家公務員が民間企業に再就職(転職)する場合は、利害関係にある企業等へ求職活動ができないことや、管理職にあった者は内閣総理大臣に一定事項の届け出が必要だったりします。
キャリア官僚が40歳の時点でヒラ職員であることはまずありえないことですので、再就職や転職活動には多くの規制が元々発生しています。
参考)退職管理の適正化

またさらに踏み込めば、橋下市長は9月末の報道によれば、大阪市の条例改正化を視野に、天下りや民間企業10万社への再就職規制を強化しようとしています。
天下り規制の対象法人拡大 大阪市の人事監察委が橋下市長に提言へ
・私の9月27日ブログ「大阪市職員の再就職、民間企業10万社へも禁止!?
今はまだ大阪市役所に留まっている話ですが、維新の会が国政に出てくるイコール、国家公務員への適用も当然に視野に入れられるでしょう。
天下り禁止・厳格化は時代の流れで当たり前のことですが、民間企業への再就職もこれだけ規制、規制、規制されると、一体40歳の時点でどうすればいいのでしょうか。
40歳というと一般の転職市場ではもうあまりニーズがない年頃です。
確かに一般の国家公務員や地方公務員よりは、キャリア官僚の方が転職市場でのニーズがあるのは確かです。
大手人材紹介会社さんとの会話の中でも、キャリア官僚だったら地頭が良いだろうから欲しい、外務省や経済産業省の官僚なら(紹介業務を)ぜひ引き受けたいという声を聞いたりはします。
個人的には、この公約が実際にまかり通るなら、約15年間の使い捨てとも思われる仕事に優秀な人材が集まらないどころか、誰も官僚を目指そうとは思わなくなるのではと考えます。
そして、この40歳定年の仕組みでこれからの日本がよくなるとは全く思えません。
この公約に甚だ疑問を感じますが、まあ実現には相当ハードルが高い+官僚自身の圧倒的な抵抗もあり挫折するのではないでしょうか。
ただ、日本はまだ官民交流が盛んではないクローズドシステムですが、今後、官民交流政策が進み、オーストラリアやイギリス、ニュージランドのように官民双方の職業移動が盛んなポジションシステムが確立されればまた別の話にはなってくるとは思いますが。
もしかして、維新の会が狙っているのはこのポジションシステムの確立だったりとか!?
でもそれならば、そもそも民間企業10万社への再就職規制などを画策する意味はありませんね。

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