国家公務員と地方公務員のイメージ差について

「公務員’s リクエスト」に寄せられた質問へのご回答です。
http://www.yakuninhaigyo.com/advice.html


質問:
「いま某市役所で働いていますが、広告関係の仕事をしたく、現在転職活動中です。
ただ、面接で今の仕事のことを分かってもらいばかりか、どうも落ちこぼれっぽい目で見られます。こんなもんなんでしょうか?」


すいません・・・けっこう以前のご質問なので、今はもう転職活動をされていないかもしれませんが、よく聞かれる質問ではありますのでご回答させていただきます。

まず、「どうも落ちこぼれっぽい目で見られます。」という理由は何とも詳細不明なので回答が難しいところなので、別の視点として、採用担当者から見た地方公務員のイメージ、国家公務員とのイメージ差について書きたいと思います。
独立後、人材業界の仕事も10年しましたので、採用側も仲介側のどちらのイメージも理解できています。


まず、皆さんはこの組織の違いを分かられますか?


1)都庁(東京都)と特別区(23区)
2)大阪府庁と大阪市役所
3)県警と警視庁と警察庁


公務員の方は、なんとなくこの違いが分かる方が多いと思います。
しかし、世間一般では「公務員」という職業イメージは、細かく分類されておらず、大きくは国家公務員と地方公務員の2つにしか分けられていません。
つまり、それ以上の細かい違いを知る採用担当者が少ないのはもちろん、別に興味を持っている人もいないという残念な感じです。


なので、面接時や人材紹介のコンサルティング時に「職業は公務員です。」となると、その先は、


どこにお勤めなんですか?

◯◯の△△というところです。

そうなのですね、□□なんですね。

いえいえ、そことは別の組織で◯◯というところなんです。

違いがよく分からないのですが、まあそういうことですね。


と理解されないことは多々です。
このことは、転職市場でなとくとも、公務員の方なら誰しもが一度は経験があると思います。
例えば親戚同士の集まりなどでも(笑)


そもそも、公務員という職業を転職市場でお目にかかること自体がラプラスやカビコン級に稀なので(ちょっと古い!?)、多くの人事担当者にとっては、面接で初めて現役公務員に会った、なんてことはザラではないでしょうか。

そのため、公務員の細かい仕事内容を知っている人はほぼ皆無な上に、履歴書や職務経歴書にああだこうだと色々書かれていてもまず理解されません。

「なんか長ったらしい部署名に、意味不明な仕事内容がツラツラ書かれているけど、結局何がこの人はできるんだ?」

と思われるのがオチで、細かい仕事内容はまるで採用担当者にとっては未知の世界すぎ、「うーん・・・よく分からんぞこれは・・・」となりがちです。


結果として、採用担当者の多くは、細かい仕事内容にも目を向けつつも、もっと大きなくくり、そう、国家公務員なのか地方公務員なのかといった大枠で判断しがちになります。


そして、ここからが本日のお題、国家と地方のイメージ差の大きな問題になっていくのですが、世間一般では、どうも地方公務員は国家公務員よりも下に見られています。
誠に残念ながら。。


人によっては少なからぬ割合で、

国家公務員試験を受けられない人たち、もしくは落ちた人たちが地方公務員になる

と思っている人たちがおられます。


現役公務員から見れば驚くことでしかないとんでもない勘違いなのですが、けっこうな割合でそう思っている人がいます。
何人どころか何十人も見てきました。


ここで少し話はそれますが、私は以前に公務員の転職活動を支援するため、数年前に大手人材紹介会社の役員や責任者など何社かに「公務員からの転職事業で協業してもらえないか」「公務員の転職を支援してもらえないか」とお願いしたことがあります。

皆さん、最初の感触は最高です。


「それは非常におもしろい試みだ」
「公務員の中でも民間企業で通用する人材もいるだろう」

など興味を持っていただけました。


ただ、そこから表面的な話しではなく、具体的な話し、

「転職希望者は地方公務員の方が多いです。
元々国家と地方とでは人数差が何倍もあり、マスの違いもそもそもありますので」

というような話しになると、そこからほぼ全ての方が


「地方公務員か・・・

国家公務員は優秀な方多いでしょうけど、地方公務員はどうなんですか?

地方公務員って役所で住民票とか税金とか窓口業務がメインの人でしょ?

そうなると、今は派遣スタッフで賄えるし、お金払ってまで欲しい会社あるかな。。うーん。。。」
※人材紹介は転職成約時に年収の20%から30%の成果報酬金が雇った企業に発生します。これが人材紹介会社の収入源です。


と急に興味がなくなったような表情になっていきました。
この後、「いや、そうではなくて」と必至に説明をしましたが、人の思い込みというものはなかなか深いもので、結局何だかんだとちょっと見送らせて欲しいとなりました。

人材紹介会社にとって、国家公務員と地方公務員のイメージ差というものは深く、それを採用する企業にも理解してもらう説明するのは現状では難しいということなのでしょう。
そもそも説明するのも面倒だと思われたのかなと思います。


話を戻しますが、採用担当など転職市場一般での公務員イメージは明らかに国家公務員>地方公務員です。

そしてもう一つ付け加えるなら官僚(キャリア組)と呼ばれる旧国家1種採用試験の合格者、超エリート組はもはや別格、別次元で、公務員で唯一ヘッドハンティングされるのはこの官僚という人たちのみです。

「官僚」という言葉には転職市場でも大いなるステータスがあり、官僚なら欲しい、という大手企業や外資企業はごろごろ実際に存在しています。
まあ官僚がそもそも欲しいのか、官僚になれるくらいの東大出身頭脳が欲しいのかは不明ですが。


同じ公務員なのに、このイメージ差、大きくは同じ「公務員」という枠なのに何とも辛いところですね・・・

私はこのことを相談会やセミナーなどでサッカーによく例えるのですが、例えると、

官僚 = プレミアリーグなどヨーロッパリーグ所属
国家公務員 = J1所属
地方公務員 = J2所属

となります。

サッカー移籍市場でプレミアリーグ所属は言うべきにしもあらずで、J1所属選手とJ2所属選手で、どっちの方が次の移籍先を探しやすいかといえば、やはり上位リーグの方がイメージ先行もあり探しやすいと思います。

私自身、大阪市役所という一地方公務員として勤務してきた身としては、この何とも寂しくせつないイメージ差は独立後も辛いものがありました。。。

誇りをもって、公務員時代は仕事をしてきたと自負していますが、この誤解から生まれる嫌なことを言われたことは独立後、一度や二度じゃありません(*_*;

まあ残念としか言いようがありませんね。。。


という訳でご質問への回答、アドバイスとしては


1)公務員の仕事を端から分かっている採用担当者はそもそも存在しないものと思う(諦める)。
2)転職市場では、公務員イメージとして見えないヒエラルキーが実は存在している。
3)1と2を踏まえて(理解・断念した上で)履歴書や職務経歴書を書き、面接に臨まにと辛い思いをする。


ということになります。
3の職務経歴書や面接の臨み方については、十分にアドバイスできることがありますので、ご興味あればご相談ください。

ではでは、「公務員’s リクエスト」のご回答でした。
※公務員からの転職をサポートしてやるよ!という男気溢れる人材紹介会社様、もしおられたらぜひご連絡ください。



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元地方公務員から起業した社長ブログ
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