【公務員からの教え 3-6】 公務員になって初めての仕事

お昼休みになると、庁内をとりあえず案内してくれた高橋主査から一声かけられた。
(高橋主査)「早速やけど、今日の夜って予定空いてるの? 君の歓迎会をすぐそこの店でしたいんだけど大丈夫か?」
配属初日だし、明日からGWだから歓迎会があるかもしれない、とは予想していたのでもちろん予定は何も入れていなかった。
(わたし)『大丈夫です。ありがとうございます。』

(高橋主査)「まあすぐそこのぱっとしない中華料理屋だけど、うちの係がよく使っているお店だから。まあ楽しみにしといてよ。」
事前の予想どおり歓迎会となったものの、今日は気分的にはまったく乗れそうにもなかった。
理由は単純明快で、いまの自分の心理状況が非常に不安定だから。
まだ予期せぬというか全く本意とは異なる配属先に気持ちの整理がやはりまだついていない。
時間が経てば受け入れられるのだろうけど、なぜいまわたしがここにいるのかさえ理解できていなかった。
お昼休み後、早速隣に座っている小山田さんから仕事を頼まれた。

「今日はね初日だし、明日から連休(GW)だからとりあえずみんなの仕事手伝って。そうね、まずは~」

と言われ、どこからか大量の封筒の束を持ってこられ渡された。
700~800通ほど大量。

「これね、市民検診の案内封筒だから、これにコレとソレ、あとアレとアレを入れてのり付けヨロシクね。簡単でしょ。」

と早口でぱぱっと言うとすぐ自分の席に戻って仕事を再開された。

「あっ、はい」

と言う間もないほど一瞬の出来事。
何だこれは・・・と思い、渡された案内のA4チラシから1通を手に取ってみると、「○○様 ○月○日市民検診のご案内」と書かれている。
どうやら名前や住所がすでに印字されている何かの案内通知のようだ。
『市民検診って何?』
と疑問に思い、小山田さんに聞こうと思ったけど、仕事にすでに完全に集中されているのか、もはや話しかけてくれるなオーラー全開なのか、とても配属初日の新人が質問できそうな雰囲気ではなかった。

『まあ何も仕事ないよりは何かしているほうがいいし、とりあえずやってみよう』
と思い始めることにした。
目の前には、センター名が書かれている大量の長三(長細い)封筒と発送先の名前と住所が書かれた案内チラシが5種類くらいあったので、封筒に入れるため順に三つ折りし、封筒に入れる。
そして最後にのりづけ。
残念ながら封筒にノリはなくノリを1枚1枚つける必要があった。
作業中は特に誰とも会話もなく淡々と。
職場内もあまり会話はないのか、淡々と仕事をし来客があればその都度出るという雰囲気。
けっこう静かな雰囲気だ。
結局、これだけ大量の封筒セッティングとノリ付けをしたことがなかったので、予想以上に時間がかかってしまったものの特に問題なく終了。
さすがにこれだけすると手が疲れる。
すると、そのタイミングを見図らって、小山田さんが声をかけてきた。
「終わったみたいね。ありがとう。じゃあ次はこっちお願いね」
と言われるとまた大量の封筒が・・・
見ると、
○○様 ○月○日 3ヶ月検診のご案内
と書かれている。
その数は数百通。
ぐはぁ~ また封筒入れとノリ付けかよ~ 
違う仕事がしてぇ~
と初日はこの後も封筒入れとのり付け作業が夕方まで続いた。
後日談では、この日、わたしが来るのが分かっていたので単純作業をためこんでいたらしい(笑)
続く。

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