「空母」を持つ意味・コストについて

中国が空母5隻建造へ 空母は2015年に稼働=中国メディア
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101127-00000008-scn-cn


前々から噂されているとおり中国もついに空母を持つみたいです。
明日28日から黄海で行われる米韓合同軍事演習のキーワードの1つにもなっている「空母」について勝手に思うことをいくつか。
なぜか最近よく周囲からこれ系の話(軍事系)をふられることが多いので。



空母は第二次世界大戦の頃からあるけど、その規模(サイズ)は随分と変わってきている。
第二次世界大戦でのプロペラ戦闘機の頃の空母(赤城など)は2万トンクラス。


それがじわじわと大きなってきて、現代では2万トンサイズでは小型になってしまい、イギリスやフランスが保有している6万トンぐらいで中型サイズ、そしてアメリカが保有している原子力空母で10万トンとなる。



GW-48825
(参考:ニミッツ級空母ジョージ・ワシントン)



戦時中の5倍もの大きさになり、艦載機も戦闘機を中心に約70機が艦載される。
日本の領空侵犯措置(スクランブル発進)の福岡県築城(ついき)基地に配備されている戦闘機が50機ほどらしいので、現代の空母は、この基地と同等の艦載機が移動できる移動基地というイメージで考えると分かりやすい。


この大きさの肥大化に比例するように製造・維持コストもとんでもないことになってきている。


アメリカの原子力空母(ニミッツ級:横須賀に配備され、黄海で明日から演習を行うジョージ・ワシントンなど)の製造コストは、まず空母自体で4000~5000億円、艦載機が約70~80機なのでこれも同等の5000億円として計約1兆円。
日本の国防予算が5兆円弱なので、1隻作るだけで年間予算の20%が消えるほど。



そしてさらにコストがかかるのが、その維持費。
一般的に言われているのが、ニミッツ級クラスの空母だと乗員は5000~6000人なので人件費が400~500億円、戦闘機をはじめとする航空機の維持管理500億円というもの。
これに合わせて訓練費用や諸々の経費がさらに数百億円。
なので1日あたり数億円のコストがかかってくる。



5000人というと小さい町1つ分の人口が空母に乗って海の上をうろちょろするイメージを考えれば、その異様さはやはり特異なものに見えてくる。
アメリカの国防予算が40兆円だからできることではないだろうか。


そしてこのような非常にコストのかかる空母を中国も2015年を目処に配備計画を練っているらしい。
中国の表向きの国防予算7兆円と、表に出ていない裏国防予算を合わせ、気合を入れれば空母を持つことは不可能なことではないと思う。



ただ、空母は1隻だけあっても意味がなく、「空母戦闘群」と「ローテーション」ができるために複数持つというのが半ば常識化しているらしい。


「空母戦闘群」は、空母周辺にイージス艦や巡洋艦、駆逐艦、潜水艦などが一体となった艦隊群を作ること。

探知任務はイージス艦が、艦隊への攻撃防御は駆逐艦が、隠密作戦は潜水艦がなどそれぞれ役割があり、一体となって作戦任務にあたることが求められる。


「ローテーション」とは、補給や修理のために任務に穴をあけないように、つまりは予備行動ができる空母戦闘群ももつこと。



こうなってくるとさらに空母を持ち、維持するには費用はもちろん、実際にまともに運用するには時間がかかってきて、一般的に空母を持ち、作戦任務にあたらせるまでには10年はかかると言われている。


とこのように、非常に持つのも維持するのも大変なのが空母なので、「空母を持つこと=軍事先進国」という図式になるので、中国もどうしても空母が欲しいのだと思う。




ちなみに日本は空母を持つ予定は全くないし、いまさら持つ意味もないと思う。
・日本の憲法との関係や専守防衛という考え方
→空母は「攻める」兵器なので、攻めてきた敵から身を守るという専守防衛の考え方とは合わない
・予算がない
→こんな非常に大食いな空母を造り、養えるお金は今の日本にはない。
以上、空母について思った雑感でした。

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